人物の話

介護シューズの値段や通販は?十河孝夫社長の想いと逆転人生が熱い

2019年12月9日にNHKで放送された「逆転人生」では,介護シューズを作った香川県の町工場「徳武産業株式会社」の物語が放送されました.

徳武産業が作る介護シューズ「あゆみシューズ」は,ベーシックなもので片足約5,000円くらいが相場であり,公式の通販サイトで購入できます(公式通販サイトはこちら).

徳武産業は,もともと大手メーカーの靴を作る下請け会社という立場でしたが,現在介護シューズのメーカーとして国内のトップ企業です.大手企業が進出してきた現在も,介護シューズのパイオニアとして,存在感を出しています.

 

徳武産業の十河社長は,介護シューズの開発を進め心血を注いできた結果,「高齢者の転倒を減らしたい!」という熱い想いが膨らみ,「高齢者を助ける」との信念のもとシューズ開発を進めました.

開発の中では困難がたくさん訪れますが,解決の糸口を見つけ,それを具現化し,見事介護履のシェアトップになり,大手に依存しない,そして大手の追随を許さない企業に成長するという逆転人生を体現しています!

 

では,徳武産業はなぜ介護シューズを作り始めたのでしょうか?その経緯などについてふれていきます.

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Contents

徳武産業が介護シューズを作り始めたきっかけは?

徳武産業会長の十河孝夫(そごうたかお)さんは,高齢者の介護施設を経営する友人の言葉をきっかけに介護シューズの開発に乗り出します.

徳武産業HPより引用

 

 

高齢者が転ばない靴をつくってくれないか?

 

高齢者は,筋力が落ちる傾向にあり,運動能力も下がってしまうため,転倒するリスクが非常に高く,転倒すれば骨折などになる可能性があります.また転倒を恐れていると歩かなくなり,筋力が落ち,そして転倒リスクを高めるという悪循環に陥ってしまいます.

十河社長の友人も,運営している施設の老人に転倒が減らせないかと,相談してきました.

徳武産業は,ルームシューズやスリッパを下請けで製造する会社でした.そこで,十河社長の友人は,介護用の転ばない靴をつくってもらえるのではないかと期待したわけです.

依頼を受けた当時(1994年ごろ)は,バブル崩壊後の景気低迷期で,生産を委託してくれる大手企業からコストダウンを要求されていた上に,安い海外製品のあおりを受けて受注は減少していました.

十河社長は,大手に依存した会社経営に危機感を覚えていたことから,他者からの依頼をこなすだけではなく,自社で何かを作らなければならないということで,この友人の依頼を受けることにしました.

友人からの依頼が,転機のきっかけになったのです!

でも,開発は一筋縄にはいきません.

 

介護シューズ開発の経緯

ルームシューズを開発していた会社ですから,ルームシューズを作るノウハウや知識があります.

高齢者の介護施設からの依頼であったため,当然室内で使うルームシューズをイメージし,すべらないような加工,足へのフィット感などをしっかりと練り,試作を繰り返していきました.

初期の試作品でパッとうまくいくことは稀ですので,高齢者の方に履いていただいても変化がないのはままありますが,徹夜して開発に心血を注いで,工夫して作って,ルームシューズとしては良いものができているという自負があっても,高齢者に履いていただくとやっぱりつまづく・・・.

開発に期間もかかるし,社員からは「いつまで続けるのか?」と不満も出てしまいます.

 

会社経営も芳しくなかったことから,もとの受注生産を中心に事業を進めるという選択肢もありましたが,十河社長はあきらめませんでした.

 

転機は,初心に返ることでおとづれました.

再度,高齢者の方の歩き方をじっくり観察したのです.

 

頻繁に起こることには,必ず原因がある.

高齢者の歩き方をじっくりと観察していると,歩き方に特徴があることに気づきます.

筋力が低下した高齢者は足が上がらず,つま先が床に引っかかってしまい,それが原因でふらついたり転倒したりしていたのです.

原因が理解できれば,解決方法は自ずと見つかります.

十河社長は,シューズのつま先に反り返りをつけることで解決の糸口としました.

 

こうしてできた介護シューズの試作品を試してもらうと,高齢者はつまづくことなく歩ける!ということがわかり,ついに商品化する基本的な設計が決まります.

 

高齢者のニーズに応える会社

基本設計が決まり,試作を繰り返し,それを高齢者に試してもらっている時の出来事です.

高齢者の中には,関節の病気やむくみなどにより,左右の足のサイズが違う場合があることがわかりました.

通常,靴は左右同じサイズをセット販売することが基本で,我々もそれに疑いをもつことはありません.

でも,高齢者には左右の靴サイズ・足の長さが違うケースもある.

片方ずつ販売すればもう片方が売れ残るため,不良在庫(もしくは廃棄品)を増やすことになりますが,十河社長は片方ずつの販売を決断します.

高齢者が困っていて,介護シューズで解決できることであれば必ず解決したい!という,顧客を一番に考えた考え方が,決断を後押ししたのでしょう.

 

そして現在では,個人の足の状況に応じたセミオーダーメイドシステムである,パーツオーダーを導入しています.完全のオーダーメイドではないものの,個人の状況に合わせた靴が,比較的安価に作成できるということも,徳武産業の介護シューズの大きな特徴です.

利益を重視していたら,この発想には至りません.

 

徳武産業は高齢者(顧客)を一番に考えた会社

徳武産業の介護シューズが高齢者に届き始めた矢先には,不良品があるという連絡が会社に入ってきました.

調査によると不良率は約3%.製造業としては致命的な高さとも言えます,

 

どこまでも高齢者(顧客)に寄り添う会社である徳武産業は,これまで出荷していた1万足を回収・検品することを決めます!

利益重視ではなく,顧客重視の経営判断ですね.

1万足の検品は容易ではありませんが,下請け事業を担っていた社員の手伝いもあり,1ヶ月で検品作業を終えることになりました.

検品作業は,人員の限られた中小企業にとってはかなりの負担ですが,それでも顧客のためということで,社員が自主的に一丸となって対応する.

共通の目的意識を持った組織は本当に強いです!

 

高齢者のことを想い,真摯に取り組んでいればこその決断と対応力ですね.

 

十河社長と徳武産業の物語はこのくらいで,実際に売られている介護シューズ(あゆみ)について簡単に紹介します.

 

介護シューズ(あゆみ)の特徴は?

徳武産業の手がける介護シューズ「あゆみ」の特徴は,高齢者が歩きやすく,つまづきにくいを意識しています.

詳細についてはHPを参照いただく方がよいですが,HPからその特徴を引用します.

あゆみシューズ通販ページより引用

また,左右の足のサイズや状況が異なる場合でも快適に歩けるように,パーツオーダーが可能です.

その人の足の悩みに合わせて,さらには体の悩みに合わせて介護シューズを注文可能です.

「逆転人生」の番組内では,半身麻痺の方のために,靴のマジックテープの部分が両足とも同じ側についている靴が紹介されました.

 

あくまで,高齢者の使いやすさを重視する.優しさが発想につながっています.

 

また,刺繍などを入れることも可能で,機能重視だけではなく見た目もという想いも具現化しています.

施設は共同生活なので,持ち物への記名は必須ですが,なかなか大人になって持ち物に名前を書くのは憚られるもの.でも刺繍を入れることで自分のものの目印にもなります.

 

徳武産業の介護シューズのオンラインショップはこちらです.

 

まとめ

徳武産業の介護シューズは,十河社長の危機感と高齢者(顧客)への想いが生んだ商品です.

細かいニーズに対応できる工夫もあり,一度試してみる価値が非常に高いものだと感じました.

片足5,000円程度と安いものではないかもしれませんが,転倒リスクを抑え,運動(歩行)が楽になるので筋力の回復も促す可能性があるから,好循環をもたらすことが期待できます.

 

想いの詰まった商品は,支持され,人気もでて,また新しいものが生まれる.

 

使命感のある会社,信念のある会社はとっても強いですね.

 

最後までご覧いただきありがとうございました.

 

2019-12-10