雑多な話

島津製作所が検査キットを発売!過去の方法との違いやメリットは?

島津製作所は、2020年4月10日のプレスリリースで、「新型コロナウィルスの検査キット」を4月20日に発売すると発表しました。

日本では、検査数が少ないのでは?とか、検査してもらえないとかそういった噂もちらほらありますが、検査体制が整うことは非常に望ましいことですね。

では、従来の方法と島津製作所が開発した方法とどのように違うのかを解説していきます。

 

Contents

島津製作所の方法は何が違う?

島津製作所が4月20日に発売する検査キットの基本的な原理は、従来の検査方法と同様に、「PCR」という方法を利用しています。

PCR法についての説明は以下の記事をご参照ください。

 

新型コロナウィルスのPCR検査とは?手法や検査にかかる時間を解説新型コロナウィルスを検出できるの唯一の検査法はPCR法ですので、PCRという単語を目にする機会もしばしばありますよね。 このPCR...

 

では、従来の方法と何が違うかというと、これまでの方法では、PCRを進める前に、遺伝子を抽出する作業が必要だったということです。

もう少し噛み砕いていきます。

 

PCRという方法は、ウィルスだけがもっている遺伝子をたくさん増やすことで、ウィルスがあるかどうかを判断します。

しかし、ウィルスの診断のために患者さんからとってくるのは、鼻水などの体液で、その中にはPCRを実施するには、邪魔になる物質がたくさん含まれています

このため、従来の方法では体液の中から遺伝子だけを取り出してきて、邪魔する物質を取り除く必要がありました。

 

でも、この遺伝子だけを取り出してくる作用が結構大変です。

まず、せっかく検査用にとってきた患者さんの体液なので、「失敗したのでもう一度ください」ということは避けたいところですから、この処理に慣れている方が実施する必要があります。

また、感染症にかかっているかもしれない方の体液なので、注意しないと検査を進める方が感染する可能性も否定できません。そういう意味でもある程度慣れた方が対応する必要があるといえます。

 

さらに、それなりに工程がたくさんあるので、感染するリスクや、取り違えてしまうリスクがゼロとは言い難いところがあります。

時間もかかるし、作業をする人にもリスクがあるということから、一気にたくさんの検査をやるのが、難しいという部分があります。

 

しかし、島津製作所が発売する検査薬は、従来の方法で必須だった遺伝子を取り出してくる必要がありません。

患者さんの体液と検査液を混ぜて加熱し、別の検査液を加えたら、もうPCRという反応を進めることができます。

 

このように操作が少ないことから、検査にかかる時間も短縮できるため、最も早い場合、96人の患者さんの検査を1時間半以内にすませることができます。

 

なお、なぜ96人かというと、通常の実験では8行12列(96個)を1つの実験の中で並べて勧めることが多いので、95という数字が出てきます。

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では、島津製作所の方法にはどういうメリットがあるのでしょうか?

島津製作所の方法のメリットは?

先ほどの説明の通り、島津製作所の検査薬であれば、前処理の工程がかなり減ります

操作する方は熟練した方がやる方が望ましいのはもちろんですが、作業するのは検査液を2回加えるという操作が基本になりますので、作業工程がかなり短縮され、しかも楽です。

すなわち、①操作上のミスが減るということと、②検査をすすめる時に感染するリスクが減るというメリットが生まれます。

 

慣れた方が作業を進めますし、その環境も万全に整えてありますが、万が一ということもありますし、リスクは低い方がいいですよね。

検査に必要な工程が少なくなり、検査にかかる時間が少なくなれば、1日に検査できる回数も増えます。すなわちより余裕をもって検査が進められるということになり、検査に従事するかたの負担が減るとも解釈できます。

 

まとめ

2020年4月20日に、島津製作所から「新型コロナウィルスの診断キット」が新しく発売されます。

従来の方法と基本的な原理は同じですが、作業工程が減るため、作業者の負担と感染リスクを軽減する可能性が考えられます。

島津製作所のプレスリリースでは、月間の生産は10万検体分だそうです。

 

1日でも早く、この事態が収束しますよう!

2020-04-10