2019年に即位された令和天皇のパレードが2019年10月22日(火・祝)に執り行われます.この時天皇皇后両陛下が使用する新御料車は...
- トヨタ・センチュリーをオープン仕様にした特別車両
- 価格は7,000〜8,000万円
- 天皇皇后両陛下が沿道から見やすいように後部座席が高めに改良
- ハイブリッド車で,燃費は13.6km/L(ベース車両のJC08モードでの公表値)
- エンジンとモーターを合わせて600馬力以上のパワー
それでは,詳細についてみていきましょう!
Contents
新御料車の価格・性能・スペックなど
今回のパレードに使用するために用意されるのは,日本を代表する自動車メーカーであるトヨタの最高級車である「センチュリー」です.
https://twitter.com/senyarize_l602s/status/1174371457037524993?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1174371457037524993&ref_url=https%3A%2F%2Fmkworks666.com%2Fyumei%2Fsokuiparedosentyury%2F
センチュリーはもともと,天皇陛下をはじめとする国内のVIPが乗るクルマとして開発されました.日本にも自動車メーカーがたくさんあるのに,日本のVIP(特に天皇陛下)が,外国のクルマに乗っているのも,なんだか違うような気がしますしね.
御料車の価格は?
それでは気になる御料車の価格から.
センチュリーは,現行モデルが3代目で2018年に発表されています.市販価格は1,996万円〜でかなりのお値段ですね.国のVIPが乗るクルマですから,これくらいは普通かな.むしろ安いくらいでしょうか?
このセンチュリーをベースに,オープン仕様に改造したのが,今回パレードで使用される新御料車です.
パレードでの使用のため,沿道の方々から見やすいように,センチュリーの屋根を取っ払ったオープン仕様.オープン仕様車は販売されているものではないため,このパレード用に仕立て上げられた特別仕様です.
オープン仕様にするということは,屋根の部分を単純になくせばいいかというと,もちろんそういうわけにはいきません.
安全面を考慮し,クルマの強度を維持しないといけないので,実際のところはオープン仕様にするための設計が必要になります.つまり特別受注生産ということになります.
そして,その価格(予算)が8,000万円.
これも全て税金ですので,「世間は増税なのに,こんな高いお金を使う必要があるのか!」と思う方もいらっしゃると思います.
しかし,滅多にない(今回は30年ぶり)天皇の即位の式典で,しかも世界中から注目されています.そして,国の象徴たる天皇陛下の即位のパレードですから,世界に日本をアピールするチャンスでもあります.
なので,日本の自動車産業をアピールする意味も含めて,これくらいの予算をかけるのは当然ではないでしょうか.
しかも,センチュリーというクルマは,国内でもあまり知られているクルマではないと思いますし,海外ではなおさらです.
なんていうクルマなのか?とか,そのスペックは?といった話題も挙がり,日本に注目が集まるきっかけにもなると思います.
是非,海外にもいい印象を与えられるといいですよね.
さて,続いては性能・スペックについてです.
エンジンについて
現行モデルのセンチュリーは,5Lのエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムが導入されています.これは,トヨタの高級ブランドであるLEXUS(レクサス)の最高級セダン・LS600hというクルマにも使われているシステムで,600馬力を超えるパワーを持ちながら,燃費は13.6 km/Lとエンジンのサイズから考えればかなりの低燃費.
エンジンは大きくても,環境にもしっかり配慮してますよ!というアピールになります.
では,どうして大きなエンジンが必要なのでしょうか?
エンジンが大きいことは,一つ贅を尽くしているというイメージにも合致するということもありますが,最も大きな理由は静かさです.
大きなエンジンであれば,低い回転数であっても十分なパワーが得られます.エンジンは回転数が上がると(アクセルを踏み込んだだけ)音が大きくなるので,逆にいえばアクセルをあまり踏み込まなくてもよければ,静かに走れるということにつながります.
上品な最高級車,しかも天皇陛下を乗せた格式高いクルマが,ものすごい爆音で通り過ぎていくというのは,ちょっと・・・ってなりますよね.
上品さをさらに際立たせるためには,エンジンも大きくして余裕を見せながら静かに走るということが必要なのです.
サイズ・外装・内装について
ベース車となるセンチュリーのサイズは,全長5,335mm・全幅1,930mm・全高1,505mmです.今回パレードで使用される御料車も,同じサイズのまま改造がほどこされています.
余談にはなりますが,2018年に最も売れたクルマは,日産のノート(136,234台)で,このコンパクトカーは,全長4,100mm・全幅1,695mm・全高1,525mmです.コンパクトカーと比較するなといわれそうですが,普通のご家庭で乗られるクルマよりも1,200mmくらい長く,250mmくらい幅があるということになります.
最高級車ですから,サイズも大きく,かっこよくということですね.
外観はシンプルですが,日本の伝統工芸である漆塗りの技術を応用した「水研ぎ」や「鏡面仕上げ」が施されており,滑らかな表面と艶やかな光沢を実現しています.
色は『神威(かむい)エターナルブラック』.市販車両でも7層の塗装を重ねていますが,今回の特別車両はさらに塗装を重ねています.吸い込まれるように綺麗な黒が,高級感と威厳を表現していますね.
エンブレムは,吉兆をもたらすという伝説の鳥である「鳳凰」が彫られています.初代のセンチュリー(1964年製)で作成された手彫りの金型を,現代の江戸彫金の職人が継承・進化させています.
室内もVIPを乗せるにふさわしい仕様であることはいうまでもありません.
本革のシートであることはもちろん,車内のパネルは木目が美しいタモ材の中心部を使用しています.
今回の特別仕様のオープンカーは,沿道から見やすいように後部座席を4cm高く設定してあって,シートバックも25°に固定してあります.
これで,沿道から見ていても天皇皇后両陛下の顔がしっかりと見られますね.
なぜ,センチュリーが選ばれたのか?
では,なぜ今回の御料車としてセンチュリーが選ばれたのかという点を考えていきます.
まず,天皇の即位パレードは,国内という意味でも対外的にという意味でも非常に重要なセレモニーです.
そして,天皇陛下が乗るメインのクルマですから,威厳と貫禄が必要であることはいうまでもありません.
例えばですが,環境への配慮という意味では,国産初のハイブリッドカーであるプリウスの方が,国内外ともに断然有名です.でも,天皇陛下がパレードでプリウスに乗ってたらなんか変じゃないですか?街で普通に走ってるし・・・.
おそらく,周囲を警護する警察車両なんかは「トヨタ・クラウン」をベースにしたクルマではないかと思いますが,取り巻きがクラウンで,主役がプリウスっていうのは非常にアンバランスですよね.
センチュリーというクルマは,あまり一般的には馴染みのないクルマだと思います.しかし,通常見ることがないからこそ,天皇陛下は希少なクルマに乗っているというプレミア感が重要なのではないでしょうか.
国内でさえそういう印象のクルマですから,海外でのセンチュリーの知名度はほぼ皆無ということになります.海外へのアピールという点でも打って付けということです.
ちなみに,今回のパレード用の御料車の条件は以下です.
① 国内で入手可能
② 車列を組む他の車両より車格が高く、サイズが大きい
③ 後部座席に一定の広さを確保可能
④ 安全性能(衝突安全、自動ブレーキ等)が高い
⑤ 環境性能(燃費、排出ガス浄化性能等)が高い
候補に挙がっていたのは,トヨタ・センチュリー,日産・シーマ,ホンダ・レジェンド,ロールスロイス・ドーン,メルセデスベンツ・S560カブリオレの5車種だったそうです.
日本の天皇ですし,やはり国産車にてパレードしてほしいと個人的には思いますし,日本が世界に誇る,世界一の自動車メーカーであるトヨタがその大役を果たすというのは必然のような気がします.
まとめ
今回は,2019年10月22日のパレードで使用される御料車について調べました.
御料車はトヨタのセンチュリーを,パレード仕様としてオープンカーに改造したものです.
8,000万円程度という価格が高いのか安いのかという点は議論が分かれるところと思います.そして,御料車としての役目は今回のパレードのほか,数回あるかどうかというところでしょう.
もちろん,費用は税金からの拠出であり,パレード1回あたりの車両費用が数千万円ということになるので,勿体無いとか無駄遣いだといえば,そうかもしれません.
しかし,国の象徴たる天皇陛下が,一般大衆と同じようなクルマでパレードするのもなんだか違うし,輸入車であるロールスロイスやベンツに乗ってパレードするのも,個人的には違和感を感じます(上皇陛下が天皇に即位された際のパレードの御料車はロールスロイスでしたが…).
なので,トヨタ・センチュリーが選ばれたのはある意味必然であり,天皇陛下のパレードを盛り上げる意味でも,最高のものを用意するということ,そしてそれにお金をかけることは妥当なのではないかと思う次第です.
パレードは天皇皇后両陛下のお顔を拝見するとともに,両陛下が乗るクルマにも注目して見たいですね.
最後までお付き合いいただきありがとうございました.
2019-10-08