2020年4月9日の22:00から、薬剤師を主人公とした石原さとみさん主演のドラマ「アンサングシンデレラ〜病院薬剤師の処方箋〜」の第一話が放送されます。
医療系のドラマではお医者さんや看護師さんに焦点が当てられる場合が多いですが、このドラマでは薬剤師さんにスポットライトが当てられています。
医療ドラマですので、当然その世界の専門用語がたくさん出てきます。この記事では第一話で出てくる専門用語を解説していきます。
この記事で注目するのは以下の用語たちです。
疑義照会(ぎぎしょうかい) | 処方箋の内容についてお医者さんに問い合わせること |
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監査(かんさ) | 患者さんに渡す前のお薬や処方内容の確認 |
アナフィラキシー | 非常に重いアレルギー反応のこと |
相互作用(そうごさよう) | お薬の飲み合わせによる効果増強や効果減弱 |
では、詳しく解説していきます。
Contents
疑義照会(ぎぎしょうかい)
「疑義照会」は、処方箋に書いてある内容について、通常の使い方とは違っていたり、組み合わせとしてよくなかったりすることに薬剤師さんが気がついた時に、お医者さんに問い合わせることです。
お薬には「添付文書」という取り扱い説明書がついています。添付文書には、どういう病気に、どういう量で使うのかとか、どういうことに注意するのかということが書いてあります。
お薬は、基本的にこの添付文書に従って使いますので、添付文書の内容と違う使い方であった場合には、「間違っているかも!」っていうことで、お医者さんに問い合わせをします。
また、お医者さんは、患者さんの状態に合わせてお薬の量や使い方を調節したりします。その調節の仕方が添付文書の記載の内容とかなり違う場合は、意図を確認する意味での問い合わせもします(もちろん、勘違いしている可能性もあるので)。
さらに、お薬によっては一緒に飲んではいけないものもありますので、そのことをお医者さんに伝えて、お薬を変更してもらったり、患者さんの希望(例えば、1日3回ではなくて1日1回がいいとか、もっと小さいお薬がいいとか)が叶うお薬が別にある場合に、お薬の変更が可能かどうかを問い合わせたりもします。
上記のような理由で、薬剤師さんがお医者さんに問い合わせをすることが疑義照会です。
お薬が患者さんに渡された後は、当然患者さんが指示通りにお薬を飲むことになります。
お医者さんが勘違いしていたり、組み合わせがよくなかったりした場合に、最後にストップをかけることができるのは、お薬を渡す薬剤師さんですので、「患者さんを守る最後の砦」ですね!
ちなみに、薬剤師さんはお薬のスペシャリストですが、あくまで指示を出すのはお医者さんです。患者さんの希望を聞き取ったとしても、薬剤師さんがお薬を勝手に変えることはできませんので、薬剤師さんはお医者さんに提案し、了承してお薬が変更してもらう必要があります。
そのためのコミュニケーションという意味でも、疑義照会は重要です。
疑義照会をするためには、処方箋の内容について確認していく必要がありますが、その過程を「監査」といいます。
監査(かんさ)
「監査」とは、患者さんに渡すお薬が間違えていないか?お医者さんの指示におかしいところはないか?といったことを確認することです。
薬剤師さんがお薬を準備(調剤)する時には、2重・3重のチェックをします。「クスリはリスク」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、お薬はその使い方によって、毒になる可能性もあるからです。
まず、薬剤師さん(または調剤助手さん)が、処方箋の内容に従ってお薬を集めます。
集めたお薬が、処方箋と照らし合わせた時に正しいかどうか?また、お医者さんの指示内容に疑わしい点がないかということを注意深く確認することが「監査」です。
「監査」の結果、集めたお薬の種類が間違っていれば正しい薬に変えるし、お医者さんの指示内容に疑わしい点があれば「疑義照会」をします。
お医者さんにしても、薬剤師さんにしても、専門知識があるとはいえ人間ですから、ミスはつきものです。でも、ミスのせいで病気が悪化したり、望まない作用がでたり、最悪の場合死にいたる危険性があるのが「クスリはリスク」という理由ですので、監査で大丈夫だった場合にも、患者さんに渡す前に再度確認する薬剤師さんもたくさんいらっしゃいます。
病院に行った後に、薬局で長い時間をお薬の用意が終わるのを待った経験がある方が結構いらっしゃるのではないかと思います。
もちろん、大きな病院の前にある薬局であれば、来る患者さんが多いので順番待ちのために時間がかかるという側面もありますが、「監査」によってお薬の内容をしっかり確認をしているので、どうしても時間がかかってしまいます。
お薬をひとつ出すだけでも、薬剤師さんはかなりの神経を使っているということを頭の片隅に置いておくと、待ち時間のイライラも少しは軽くなるかも???
アナフィラキシー
「アンサングシンデレラ」の第一話では、蜂に刺された患者さんが救急で運ばれてきます。この患者さんの症状が「アナフィラキシー」です。
「アナフィラキシー」は、非常に重いアレルギー反応で、蕁麻疹やめまいなどの症状のほか、呼吸困難や意識障害に至ることもあります。
「アナフィラキシー」の原因になるのは、ドラマでできたハチ毒によるもののほか、食物アレルギーや、お薬によるものもあります。
では、アナフィラキシーがなぜ起こるかについて簡単に解説します。
「免疫」という言葉をご存知でしょうか?
体の中にウィルスなどの病気の原因が入ってきたら、体内ではその原因を取り除こうという反応が起きています。これが「免疫」というもので、病気になりにくい体は免疫力が高いとかって言われますよね。
例えば、インフルエンザの予防接種は、病気にならない程度のインフルエンザウィルスを体の中にいれて、インフルエンザウィルスのことを体に覚えさせておき、実際にインフルエンザウィルスが体に入った時に、「免疫」によってインフルエンザウィルスをやっつけるという目的で実施します。
「免疫」というのはもともと体の中に備わった防御機能ですが、この「免疫」がやり過ぎた状態になってしまったのが、アレルギーであり、アナフィラキシーです。
ハチ毒によるアナフィラキシーは、ハチに刺された時に、「なんとかしなきゃ!」とものすごくがんばって体を守ろうとした結果として起きてしまいます。
アナフィラキシーで呼吸困難や意識障害が起こっている時は、ショック状態で血圧が非常に下がっています。
ドラマの中では心臓が止まるまでに至っていますので、心臓マッサージをするとともに、血圧を上げる必要があるので、血圧を上げるお薬が注射されます。
しかし、効かない・・・。
たくさん注射しても効かないので、何が原因があるということで、患者さんが飲んでいる薬を聞いたところ、血圧を下げるお薬を飲んでいるということで、血圧を下げるお薬の作用をないものにしていたということがわかります。
そこで、血圧を上げるお薬の種類を変えることで、無事に助かるという筋書きです。
ちなみに、このお薬の組み合わせによって、お薬の効き目が変わることを「相互作用」といいますので、その点も解説していきます。
相互作用(そうごさよう)
「相互作用」は、お薬の飲み合わせによって、お薬の効果が強く出たり、逆に効かなくなったりすることです。
第一話で出てきたショック症状に対する処置で、血圧を上げるお薬が効かなかったこともお薬による相互作用が原因です。
具体的に言うと、この患者さんが飲んでいるお薬は、血圧を上げる原因になるものが効かないようにブロックする作用をもつお薬でした。そのお薬を飲んでいる状態で、血圧を上げる原因になるものを注射で投与したので、血圧を上げるもの(投与したもの)が普段飲んでいるお薬でブロックされて効かなかったため、患者さんの状態が変わらなかったということです。
血圧を上げるやり方(お薬)はいくつか種類があるので、違うやり方で血圧を上げようとすることで相互作用を避けることができました。
相互作用には、効き目を強めるものもあります。
例えば、同じ作用を持っている薬をいくつか同時に飲んでしまうと、狙った効果が出過ぎてしまうというのは想像しやすいですよね。
あと、相互作用としてわかりやすのは、組み合わせによって血の中にあるお薬の量が変化してしまうものです。
お薬の中には、お薬を分解するために必要な機能(酵素)を弱くしたり強くしたりするものがあります。
例えば、お薬Aが①という酵素で分解されるとします。
お薬Bが①の機能を弱くする場合に、お薬AとBを同時に飲むと、お薬Aが分解されにくくなり、たくさんお薬Aを飲んだ時と同じようになってしまいます。
逆に、お薬Cが①の機能を強くする場合には、お薬AとCを同時に飲むと、お薬Aが分解されやすくなって、血の中から早くなくなってしまうので、期待していた効果が得られません。
その他にも、相互作用の原因や出方はたくさんありますので、相互作用の話があった時に薬剤師さんに聞いてみてください。
まとめ
2020年4月9日放送の「アンサングシンデレラ〜病院薬剤師の処方箋〜」で出てきそうな用語について解説していきました。
医療系に限りませんが、専門用語にはわかりにくいものが多いですが、知っているとドラマを楽しむ上でも、そして生活している中でも役立つことがあると思います。
第2話以降も同様に解説していきたいと思いますので、ご期待ください。
「アンサングシンデレラ〜病院薬剤師の処方箋〜」
公式HPはこちらから。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2020-04-04
アンサングシンデレラ関連で、気になった用語については以下の記事にまとめてあります。