2021年2月7日の『がっちり・マンデー!』で紹介された遅咲き社長のおひとり『吉田博一(よしだひろいち)さん』。
69歳の時に蓄電池メーカーである『エリーパワー(ELIIY POWER)』を創業し、非上場ではあるものの、電気自動車など様々な分野での電池利用が期待される中で、今後の活躍が期待されます。
今回は、燃えない蓄電池として、ドイツの認証機関『テュフラインランド』の安全認証を受けている『エリーパワー』の会長吉田博一さんの経歴や、エリーパワーの蓄電池の秘密について紹介していきます。
Contents
吉田博一(よしだひろいち)さんの経歴は?
エリーパワーの代表取締役会長兼CEOである吉田博一さんの経歴は以下の通りです。
名前 | 吉田 博一(よしだ ひろいち) |
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生年月日 | 1937年9月28日 |
出身地 | 東京都 |
出身大学 | 慶應義塾大学 法学部 |
趣味 | ゴルフ |
吉田博一さんは、大学卒業と同時(1961年)に住友銀行(現・三井住友銀行)に入行し、営業を中心にキャリアを重ねられました。なんと1日90件の得意先を回ったという伝説があるほどのバリバリの営業マンで、預金獲得で行内トップになったことも1度や2度ではないそうです。
そんなやり手であれば出世しないわけがない!ということで、管理職(支店長)を経て、人事部長も経験されています。順調にキャリアを重ね、常務取締役時代(50代)にはロンドンにも駐在、副頭取を経て、住銀リース株式会社の会長・社長も経験されました。
そんな順調なキャリアを経験した後、2006年9月28日にリチウムイオン電池のベンチャー企業である「エリーパワー株式会社」を立ち上げました。なんと設立日は、69歳の誕生日!
一般的には定年後の余生をのんびり過ごしているであろう時期に、さらに挑戦しているというバイタリティーには、本当に脱帽です。
そんな吉田博一さんのご趣味は「ゴルフ」。
「ゴルフが自分のものになったから楽しいと云うのでなく、つかめないコツを求めて試行錯誤するから面白い」と語られています。
プロセスを楽しみながら常に挑戦するというマインドが、69歳で起業し、80歳を超えてもなお挑戦を続ける原動力になっているんでしょうね。
ゴルフをずっと続けるために、実施されている健康法のひとつは、「真向法(まっこうほう)」というエクササイズ。股関節を中心に運動することで、心身をリフレッシュするストレッチで、1日3回の真向法ストレッチは欠かせたことがないそうです(真向法についてはこちら)。
なんと80歳を超えても180°開脚ができるという柔軟性。「続ければ誰でもできる」というご発言があったようですが、続けるって一番難しいですよね。
では、住友銀行(現・三井住友銀行)で、副頭取まで歴任した吉田博一さんがさらなる挑戦として「エリーパワー」を創業した経緯についても調べてみました。
エリーパワー創業の経緯は?
吉田博一さんがエリーパワーを立ち上げた理由は、電気自動車に大きな未来を感じたから。
住友リースの社長時代に、リース資産の処分という課題に直面していた吉田博一さん。なんとリース資産の廃棄に対して適切な処理が行われていないケースがあり、環境問題に対して大きな関心を持ったそうです。
そんな中、電気自動車の研究を手掛けていた、慶應義塾大学教授・清水浩さんと出会いました。清水教授はELiiCAという電気自動車を開発した方で、その出会いから、電気自動車に大きな将来性を感じたそうです。
Wikipediaより引用
電気自動車の普及には、そのコストの2〜3割を占めるといわれる電池のコストダウンが不可欠。しかし、高価なリチウムイオン電池の開発に大手メーカーは及び腰であったことで、一念発起された吉田博一さんは、起業を決心されたそうです。
69歳で起業ということで、家族は当然猛反対されたそうです。
しかし、ロンドン駐在時代に「他人の目を気にせず、自分の思うままに生きることをよしとする英国人の生き方」に感化されていたことから、ご自身の気持ちにまっすぐに起業されたそうです。
起業時には当然お金が必要です。しかも、大手メーカーも及び腰になるような「リチウムイオン電池」の研究開発のためであれば、その額も大きなもの。
でも、トップ営業マンであった吉田博一さんは、ご自身の経験を生かし、なんと300社を超える企業に訪問して出資を募り、創業時に300億円以上を資金調達したそうです。
そして、2006年に、20〜30代の若者と4人で「エリーパワー」を創業されました。
安全で安価なリチウムイオンバッテリーを開発するとの信念で、試行錯誤を繰り返した結果完成したのが、釘を刺しても・銃で打っても発火しない安全なリチウムイオン電池。その秘密についても調べてみました。
なお、社名であるエリーパワーの由来は、「Electric Lithium-ion」の頭文字に創業者のイニシャル「Y」を組み合わせた「ELIIY」に、電気の力を表現する「Power」を組み合わせたもの。
会社ロゴは、3本の縦棒で「正極・セパレータ・負極」を表現し、左上の星はリチウムイオンを表現しているそうです。
ELIIY Power HPより引用
釘を刺しても発火しない電池のひみつは?
釘を刺しても、銃で打っても発火しない電池の秘密を調べていったところ、その構造に秘密があるということがわかりました。
従来の電池では、部材を巻いて作ってあります。
通常電池に衝撃があったり、何かが刺さったりした場合、プラス極とマイナス極が触れてしまって、いわゆる「ショート」という現象が起きることで「熱」が発生します。
部材が巻いてある従来の電池では、熱が外に逃げることができず、電池の内部にとどまってしまいます。
ショートしていますから、どんどん熱が発生し、しかも逃げ道がないので熱がたまって温度が上がり、発火してしまうということになります。
テレ東プラスの記事より引用
一方で、エリーパワーの電池は、部材を積み上げて作っているそうです。
仮に熱が発生したとしても、熱は外側に逃げることができます。
熱が逃げてくれれば熱がたまって温度が上がるリスクは少なくなりますので、発火をしにくいということになります。
テレ東プラスの記事より引用
もちろん他にもたくさんのノウハウがあって、高い安全性が実現しているのだろうと推察されます。
ちなみに、高い安全性だけではなく高い性能を実現するために、燃えない電池の製造工場には、人が誰もおらず、全自動で生産されているそうです。
というのも、リチウムイオン電池を製造する際には、「湿度」に注意が必要であり、たとえ人が発する汗でさえも品質にばらつきを生み、発火のリスクを作ってしまうそうです。
そこで、安全を重視するため、全自動で生産されています。
この安全性重視の生産により、高寿命も手に入れています。約17,000回のフル充放電を繰り返したとしても、電池容量は70%保持されるそうです(もちろん使用条件により異なります)。
また、-20〜60℃で安定して性能を発揮するという点も安心ポイントです。
まとめ
今回は、2021年2月7日に放送された「がっちりマンデー」で紹介された、吉田博一さんについて調べました。
69歳で起業。80歳を超えた現在でもなお挑戦を続け、2度目の起業も視野にいれているそうです。このあくなき挑戦心は本当にすごい!
エリーパワーの電池は、蓄電池やバイクのセル用バッテリーなどで利用されています。
欧州をはじめ、日本でも将来的にEV以外の新車販売を規制する旨の目標が掲げられていますので、今後ますます需要が高まり、「より安価な電気自動車を!」という吉田さんの夢が実現する日も遠くないかもしれませんね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
2021-02-07