生きていくために,体の中には血液が流れています.
血液は赤い!
だれでも知っていて,誰でも確認できることですし,その理由は子供のころ理科の授業で習っているはずです.
でも改めて子供とかに聞かれて説明しようと思うと,意外と難しいものではないでしょうか?
当たり前のことって普段意識しないので,ふと説明しようとすると「だって実際血って赤いんだもん!」ってなってしまいます.
今回は,血液が赤い理由とともに,赤い血液が流れている血管がなぜ青く見えるのか?という点について,私なりに解説していきます.
Contents
どうして血液が赤く見えるのか?
まずは,どうして血液が赤く見えるのか?というお話を書いていきます.
キーワードは「ヘモグロビン」です.
血液が赤い原因に入る前に大きな視点から入っていきます.
血液の中にはいろんなものが含まれていますが主に大事なものは以下のものです.
赤血球 | 血液の中で酸素を運ぶ |
---|---|
白血球 | 体の中にある異物(病気の菌やウイルスなど)を退治する |
血小板 | ケガをした時に血を止める |
血漿 | 血液の中の液体で栄養などを運ぶ |
この中で今回のお話の主役は赤血球です.その名の通り赤い色をしています.形は以下の画像をご参照ください.
この赤血球には,ヘモグロビンというタンパク質が含まれています.ヘモグロビンは,鉄を持っていて酸素とくっつきやすい性質があり,このヘモグロビンに鉄がくっつくと鮮やかな赤い色になります.このため,赤血球は赤いのです.
でも,赤血球以外にもいろいろなものが含まれているのに,なぜ血液は赤いのでしょうか?
それは,赤血球が血液の中にものすごくたくさん含まれているからです.
一般的に,血液1μLあたりに含まれる赤血球の数は500万個です.例えば,小さじ(5 mL)のスプーン1杯で考えると2,500億個.もはや数字が大きすぎてよくわかりませんね(^ ^;)
ではなぜこんなにたくさんの赤血球が含まれているのでしょうか?
身体の中の心臓や脳・筋肉などを動かすためには酸素が必要です.水の中にずっといると息ができなくてとても苦しいのは,息ができなくなって酸素を取り込むことができず,心臓や脳が動かせなくなってしまうからです.なので,「息をしないと死んじゃうよ〜!」ってことで苦しくなってしまいます.
こんな大事な酸素ですから,出来るだけたくさん運べるようにしとかないと,水に入ったとたんに心臓が止まったりということになってしまいます.なので,酸素を運ぶためのトラックである赤血球をたくさん用意しておくことによって,ちょっとくらい息を止めても大丈夫!ってことになるのです.
ということで,酸素とくっついたヘモグロビンを持っている赤血球がたくさんあるから血が赤いということになります.
余談ですが,病院で採血をした時の血は赤いけどなんだか赤黒い感じがしませんか?これは,酸素を運んだあとの血液を取っているからです(静脈から血液を抜いています).酸素をパンパンに積み込んだ赤血球は鮮やかな赤で,動脈から血液を抜くと鮮やかな赤色です.
血液が赤い意味は?
血液が赤い理由は赤血球が赤いから,より細かくいうと酸素とくっついたヘモグロビンが赤いからということになりますが,なぜ神様は血液の色として赤い色を選んだのでしょうか?
この疑問に答えはありませんが,こんな答えはどうですか?
みなさんにとって,“赤” はどういう色ですか?
赤って,派手で目立つ印象はありませんか?
血液が外に出てくる(出血している)状態というのは,当然血管が破れてしまっている状態です.血管が破れているということは,酸素を運んでくれる大事な赤血球がどんどん外に出て行ってしまっている状態ということです.
この状態をほっておくと,酸素が身体中にいきわたらなくなり命を落としてしまいます.
出血している状態というのは,それだけ危険な状態だということです.
その危険を回避するためには,ハンカチや手で押さえたりして出血を止めようとします.出血を止めようとするためには,出血していることに気づく必要がありますよね.
なので,血液が外に出ているということが非常事態なので,その非常事態に少しでも気づきやすくするために,血液が赤いのではないでしょうか.きっと!
世の中にある危険を知らせるものの多くは赤です.赤信号や車のブレーキランプは,周囲のドライバーに「止まってね!」とか「止まるよ!」という警告を与えるために,赤い色で目立たせているわけです.
警察や救急車,消防車の屋根のランプも赤です.彼らが急いでいるときは緊急事態ですから!
赤い血液が流れている血管が青く見える理由は?
では,腕の血管を見てみてください.肌に浮き出ている血管は青く見えませんか?
血液は赤いのに,なんで血管は青く見えるんだろう??と思いませんか?
まず,見えている血管は身体の外側のものなので静脈です.静脈は,酸素を運び終えたあとの血液を含んでいるので,赤血球から酸素が外れた状態であり,赤黒い色をしています.
でも,静脈だからといって血液は青いわけではなくあくまで赤系の色です.
さらに,血管も青色ではありません.血管は白っぽい色をしていて,その中を血液が通っているので,直視すると赤く見えます.
では,なんで青いのかというと,光のせいなんです.
光は,色によって遠くまで届いたり近くまでしか届かなかったりという性質に違いがあります.赤や黄色は遠くまで届く,つまり遠くからでもわかりやすい色であり,逆に青は近くまでしか届きません.
肌の中にある血管が見える時に,赤い色の光は肌の奥底まで届いていて,なかなか反射してきませんが,青い光はあまり奥まで行けず血管で反射して目に入ります.
つまり,赤い光は血管よりも奥までいって,青い光は早々に反射して返ってくるくるので血管が青っぽく見えるのだそうです.詳しくはこちらを参考にしてください.
なお,これはあくまで静脈についての見え方が周りの色に比べて青く見えることの説明なので,肌の下にある全ての血管が青く見えるということではありません.赤ら顔の原因は血液が赤いからですし,突き詰めていくと全てを説明できる理由です.ごめんなさい・・・.
まとめ
今回は,血が赤いことに着目し,その理由と意味について考えてみました.
当たり前のことほど説明するのが難しいし,実はわかっていないことが多かったりします.
身近な疑問から大発見が生まれることがあるように,ちょっとでも「なんでかな?」と思ったら調べてみれば,世界が広がるきっかけになるかもしれません.
2019-08-04