「ITパスポート試験」は、IT関連の基礎的な知識のみならず、経営関連の基礎的な知識も得ることができる試験です。
その合格率は約50%であり、試験の難易度として決して高いものではありません。
私自身、2021年10月からITパスポート試験に関する勉強を開始し、2022年1月に試験を受験しました。そして、合格に必要な得点(600点/1000点)を超える得点を得ることができました
今回は、ITパスポート試験の合格率や難易度などの情報(データ)とともに、私のやった勉強法を共有し、これから試験を受ける皆さんの参考になればな〜と考えています。
なお、合格率が高く、試験日程も多いため「意味がない」という声もありますが、実際に勉強したり試験を受けてみて、私自身は「決して意味のない試験ではない」と感じています。その理由や、メリットについても共有していきます。
Contents
ITパスポート試験の合格率・難易度は?
ITパスポート試験は、2011年11月に開始した試験です。
その合格率は51.1%であり、受験者の2人に1人は合格できる計算です。この合格率が高いか低いかという点は個人の感覚によるところではありますが、実際に私が受験した感想として、「そんなに難易度は高くない」という印象でした。
ちなみに、上記の合格率のデータは2021年11月15日現在の公表されたデータです(参考にしたデータへのリンクはこちら)試験開始からの10年間で、受験者数879,832名、合格者数449,662名で、合格率が51.1%です。
こちらのデータでは勤務先別でのデータも提示されており、合格率が高いのは製造業・官公庁(70.5%)と大学院生(70.4%)のようです。ITやコンピュータ関連の業種でも全体の合格率より少し高いくらいの合格率(50〜60%)ですので、IT関連の深い知識が必要という感じではありません。
前述の通り難易度は、合格率の観点からも実際に受験した印象でも決して高いものではありません。しかし、勉強していないと用語の意味がわからなかったりしますから、「難易度が低い」と思っていると足元をすくわれてしまいます。また、IT関連の知識だけでなく、経営関連の基本的な知識に関する問題も含まれます。ここが、必ずしもコンピュータ・IT関連の業種の合格率が高くないという点に表れているのかもしれません。
参考までに、試験時点で私は製造業の会社員(30代)で、2021年10月から3ヶ月ほど勉強しました。テキストと問題集での勉強で、毎日必死に勉強したというよりは、空いてる時間(休日とか)を中心に週2〜3時間くらい勉強したかな〜、もうちょっと少ないかな〜くらいの感じです。では、実際にどのように勉強したのかについて、ご紹介します。
ITパスポート試験のおすすめ勉強法は?
先にも記載した通り、私は大体3ヶ月くらいかけて勉強しました。Forsightという会社のManabunという通信講座を受講し(会社の補助があったため)、その講義動画やテキスト、問題集を活用した上で、ITパスポート試験の公式サイトで入手できる過去問(実際の受験形式のもの)と模擬試験を合わせて5回分やって本番に臨みました。
Manabunという通信講座は、受講者の合格率が90.2%(受講者アンケート結果より)という脅威の数字だそうです。確かに、必要なポイントを抜粋したテキスト(239ページ分でそんなに分厚くない)ですし、カラフルでビジュアル的にもみやすいので、学習しやすかったです。また、講義動画では、更にポイントを絞った解説をしてくれるので、結構サクサクと進めることができます。
問題集は、過去問などを中心にかなりの数が用意してあるので、練習もしっかりできました。模擬試験問題も2回分用意されています。
私自身は、1ヶ月目に講義動画とテキストを確認し、2・3ヶ月目は過去問を繰り返し実施し、わからないところはテキストで振り返ったりgoogleで調べたりというスタイルで実施しました。
ちなみに、ManabunのITパスポート講座は16,800円です(こちら)
そして、最終的な仕上げとして、ITパスポート試験の公式サイトで公開されている、本番試験形式(CBT)の過去問を5回分実施して、本番に臨みました(Windowsのみ)。
以上のような勉強を踏まえて、775点/1000点という結果でした(2022年1月9日受験)。
通信講座は、内容がまとまっているし、Manabunの場合はいろんなシステム(問題集の他にWebで実施できるゲームっぽい○✖️問題もある)を利用することができるので、合格率が高くなるのも納得だなと感じました。なので、試験勉強にあまり慣れていない方や、効率重視で時間を節約したい方は、Manabunやユーキャンなどの通信講座を受講するのが近道だと思います。
一方で、費用をあまりかけずに受験したいという方は、テキストと問題集を用意して学習すれば大丈夫だと思います。正直テキストには好みがあると思いますので「これがいい」というものはありませんが、書店で中身を確認した上で気に入ったテキストを1冊入手し、一通り勉強してから、公式サイトで公開されている過去問を何度もやってみるというのでいいと思います。
ITパスポート試験の公式サイトで公開されている過去問は、問題傾向をつかむ意味でも必ずやるべきです。問題集は頻出部分が中心のため、勉強に偏りがでる可能性がありますので、テキストと問題集のみだと不十分になる可能性があります。
テキストと過去問っていう組み合わせが費用対効果が高いようにも思います。
通信講座でもポイントを絞っているし、ITパスポート試験の攻略テキストでも内容は限られていると思います。過去問や問題集を解いていくと、テキストにはない用語が出てくることも少なくありません。
特に、私がITパスポート試験の勉強で一番困ったのは略語です。用語がアルファベット3文字とかの略語で示されているので、正直どれがどれかわからなくなります。通信講座・テキストともに情報量が限られているため、Googleとかを使って略語を都度調べていました。何度も調べていると覚えられる場合がありますし、メモ帳などに記録しておくと後で見返すのに便利です。
ITパスポート試験だし、インターネット検索をすることでITスキルも上がるかも???という二次的な効果も期待できます(笑)
最後に、ITパスポート試験は、CBT形式(Computer Based Testing)で実施されるので、最低1回はCBT形式のテストを疑似体験しておくべきです(こちら)。CBT形式とは、パソコン上で試験をすべて終えられるというもので、紙よりも答えにくいと感じる場合があります。私は問題にメモをしながら考えるタイプなので、通常の紙の試験よりもCBTの方が点が出にくい印象を持っています。
なお、CBT形式のテストの疑似体験のアプリ(こちら)は、動作環境がWindowsなので、Macの方は開けません・・・。Macの方やPCを自由に使える環境にないという方は、漫画喫茶とかで体験するのも一案かもしれません。ダウンロードして実施する形なので、やっていいかどうかはそれぞれ確認してください。
以上の内容をまとめると、以下のように勉強を進めることをおすすめします。
- テキスト(と問題集)を1冊購入する。
- テキストの内容を一通り勉強する。
- 問題集や公式サイトの過去問に挑戦する。
- わからない単語などはテキストやgoogleなどで調べる(メモる)。
- 問題集や過去問に繰り返し挑戦する。
- 試験の1週間前よりCBT方式の試験を疑似体験する。
略語を覚える際には、その正式名を一緒にチェックしておくと、その意味するところが試験中に想像しやすくなると思います。例えばISPを「インターネット・サービス・プロバイダー(Internet Service Provider)」という正式名称を合わせてメモしておけば、「ISP」という文字だけを覚えるよりも思い出しやすくなると思います。
ITパスポート試験のメリットは?
ITパスポート試験は、難易度が高くないし合格率も50%のため、結構たくさんの人がこの試験の合格者です(2021年11月時点で約50万人)。
だから「意味ないよね〜」っていう声もあるようです。
ITパスポート試験に求める「意味」は人によって異なりますので一概には言えませんが、私は受験して(勉強して)よかったと思っています。
まず、IT関連の基本的な知識が得られるとともに、経営に関する基本的な知識や考え方も得られるという点です。もちろん、高度なものではありませんが、基本の部分がわかっていることで発展的な内容を理解する礎になります。
また、多くの方がスマホを持っていて、企業もITを活用して活動したり、業務もITツールを活用する機会がかなり増えています。もはや避けて通れないと言っても過言ではありません。もう「デジタルはよくわからない」とは言っていられないので、その入門(導入)という意味でも、この試験を受験することに意味があると思います。
一方、この試験に合格することで得をするかというとそんなことはないかもです。基本を知っているということは非常に重要であるものの、「ITパスポート試験に合格したからプログラミングできるよね!」みたいなことではないので、直接的なアピールポイントにはなりにくいかな〜という感じです。
ITパスポート試験の当日の流れ
それではITパスポート試験の当日の流れについて、簡単に紹介します。なお、私の場合は2022年1月9日に、大阪の「プロメトリック中津テストセンター」で受験したものですので、会場により異なる点をご了承ください。
持ち物
まず、ITパスポート試験には確認票を印刷して持っていきます。受験番号やID・確認コードなどが記載された書類で、ITパスポート試験の申し込みをしたマイページでダウンロードできます。印刷した確認票を持参できない(忘れたとかも?)場合には、会場で必要事項を記載して受付する必要があるので、印刷して持っていくことを強くお勧めします。
なお、確認票が持参できない(忘れる)リスクがあるため、受験番号・ID・確認コードは、控えておいた方がいいです。これらの情報がないと受験できないかもしれません。
確認票の他に必須なのは本人確認書類です。運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・学生証などの写真付きの証明書類が必要です。もし、写真付きの証明書類がない場合には、あらかじめコールセンターに確認する必要があります。
会場にて本人確認
会場では、まず受付で本人確認を実施されます。免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの写真付きの証明書類を必ず持参してください。
本人確認が完了したら、受験に関する説明をされるとともに、受験する席の番号を指定されます。
受験に関する説明でのポイントは、「不要なものは全部ロッカーへ!」ということです。
確認票・ハンカチ・ティッシュ・目薬・会場で配布される受験者注意説明書以外は、会場に持ち込むことができません。そのほかのものはロッカーにしまっておくことになります。特に言われたのは「腕時計」もダメですよということでした。時間はPCの画面で確認できるので、必要にはなりません。
受験するデスクに着席
受験するデスクに着席する前に再度本人確認があります。本人確認書類はポケットにいれるように指示がされます。
本人確認後、席を案内されます。各席はブースみたいな感じになってて、PCとメモ用紙とシャーペンが用意されています。
以下の写真のように、3方が仕切られている場所です。PCはデスクトップでした。あくまでイメージ写真ですので、当然水やコーヒーは用意されていません。スマホも置けません。
席に座ったら「受験番号・ID・確認コード」を入力しログインします。説明を確認しておき、受験時間がきたら試験開始です。
座席には、周囲の音をシャットアウトするための静音用のヘッドホンが置いてありました。PCを使った試験ということで、結構周囲のクリック音が気になったりしますので、その対策用です。
問題を解く
試験開始時間になると、試験を開始できるようになります。
試験時間は120分で、問題は100問です。問題数は多いですが、知っていれば解けるという知識問題が結構含まれているので、時間が足りなくて全問解けなかったということはないかなと思います。一部計算問題などが入っており、悩む場面はありますが、そういう問題は後回しにして、余った時間でじっくり解くほうがいいです。後回しにする問題にはマークをいれることができるので、振り返りもしやすい仕様になっています。
試験中の離席は基本的に認められないものの、事情(トイレに行くための離席とか)は認められています。離席しても試験時間の120分は変わりません(延長はない)。
試験終了後
回答が終わったら、試験終了ボタンを押します。即時採点されるので、合格発表までにヤキモキする必要がない反面、その場で結果がわかってしまいます。
試験時間は120分ですが、終わった時点(採点した時点)で帰れます。
採点が終わって、係の方に確認してもらえば退席することができます。
時間には結構余裕があると思いますので、焦らずじっくり解くことができます。
ITパスポート試験の概要について
ITパスポート試験の概要をまとめておきます。
試験名 | ITパスポート試験 |
---|---|
試験時間 | 120分 |
試験方式 | CBT(パソコン上で答えていく)方式の4択問題 |
問題数 | 100問 |
試験日程 | 予約制で随時開催(都市によっては毎週土日なども) |
合格発表 | 試験終了と同時に採点。正式な合格発表は受験の翌月 |
合格基準 | 1000点中600点以上(カテゴリごとに30%以上の正解率が必要) |
受験料 | 5,700円(2022年4月より7,500円) |
ちなみに、遅刻による入室制限はないようです。ただし試験終了時間は変わりませんので試験時間は減ってしまいます。
まとめ
ITパスポート試験は、「ITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格」と公式ページに記載してある通り、ITの基礎知識はもちろん、IT以外の社会人としてしっておいた方がいい基本的な知識を学べます。
試験は、会場によっては毎週土日に1日3回といったペースで実施されるので、結構手軽に受験することができます。合格率は50%程度で、難易度は高くなく、ある程度勉強しておけば合格のハードルは高くありません。
今回の内容が参考になればうれしいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2022-01-10
ITパスポート試験公式ページ(こちら)