東京オリンピックの種目として選択されている「スポーツクライミング」をご存知でしょうか?
クライミングという名前のとおり、「登ること」メインとした競技で、断崖絶壁に見立てた壁の随所に設置された「岩(ボルダー)」に手や足をかけ、道具を使わず登っていく競技です。ボルダリングといえば馴染みがあるでしょうか。
スポーツクライミングには3種類の競技があります。
リード | どれだけ高くまで登れるかを競う |
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ボルタリング | いくつのコースを登りきったかを競う |
スピード | 登りきるまでの時間を競う |
リードとスピードは説明のとおり登った距離や登るスピードを競うものなので、結構わかりやすいですが、ボルタリングはちょっとわかりにくいですね。
ボルタリングは、1つの壁に多彩な色のボルダーが設置されており、その色によってコースわけがされています。このボルダーの色によって分けられた複数のコースを制限時間内に何種類登りきれるかを競うの競技です。
見所は、壁を登る技術や筋力・持久力に加え、どのボルダーに手足をかけどのようにコースを登っていくのかという頭脳(判断力)の要素です。
東京オリンピック2020で採用されたスポーツクライミングについて、日本は実は強豪国です。当然地元開催ということも含め、メダル獲得に期待が高まります。
2020年1月時点の代表内定選手は、男子では楢崎智亜選手、女子では野口啓代選手です。
では、詳しく見ていきます。
Contents
スポーツクライミングのルールは?
スポーツクライミングは、リード・ボルタリング・スピードの3種目から構成されています。
リード
リードとは、制限時間6分で15メートルの壁をどこまで登れるかを競う競技です。
登る間にはいくつかの支点があり、この中間支点にハーネスをかけることで安全を確保しながら登っていきます。最終支点にハーネスをかけると完登とみなされます。
一般的には予選では2本、準決勝と決勝では1本のコースにそれぞれ1回のみトライします。
準決勝には26名(予選が2グループに分かれた場合は13名ずつ)、決勝には8名進出できるというのが一般的です。
順位は登った高さで決まります。墜落・時間切れ・反則をした場合は、その時点での高さが判断基準となります。
もし同じ高さまで登った選手が複数いた場合には、前ラウンドでの順位が高い選手が優先されます。それでも同順位の場合はタイムで順位が決まります。
ボルタリング
ボルタリングは、壁に打ち付けられた岩(ボルダー)の色で分けられたコースを、制限時間内に何種類完登できたかを競う競技です。
制限時間は、予選と準決勝は5分、決勝は4分に設定されています。
通常、予選では5本、決勝では4本のコース(壁)が用意されます。
予選では初見のコースを登り、競技5分・インターバル5分でどんどん違うコースにチャレンジしていきます。
一方、決勝は2分間の下見(オブザベーション)のあと、4分間の競技に移ります。
順位は、完登したコースの数とともに、完登までにトライした回数(少ない方がよい)を基本として決定します。結果が同数の場合は、コースの途中に設定されているボーナスボルダーの獲得数も加味されます。
準決勝は20人、決勝は6人で争われるのが一般的です。
スピード
スピードは、15mの壁をいかに早く登れるかを競う競技です。
壁の角度などの条件が細かく設定されており、いつでも同じ条件で競技ができるようになっています。
タイムを競う競技ですので、早く登った選手が勝ちです。
予選ではタイムによって決勝進出者が選抜されます。
決勝には16名の選手が出場し、トーナメントで優勝者が決まるというのが一般的です。
東京オリンピックは総合力を競う
東京オリンピックでは、上記の3つの種目を全て行い、総合力で順位が決まります。
総合順位を決めるためのポイントは、各競技の個別の順位を掛け算した結果です。この数字の小さい方から並べた結果が総合順位となります。
各競技で同じ順位が複数ある場合は、平均順位を与えます。具体的に言うと、6位の選手が4人いた場合は、(6+7+8+9)÷4 = 7.5が与えられます。
この計算結果で同点の場合は、その選手の各競技の成績を比較して、上位の成績が多い選手が勝ちになります。
スポーツクライミングの見所は?
スポーツクライミングの各競技は、それぞれに見どころがあります。
リードは、最高到達点を競う競技なので持久力はもちろんのこと、体力消費をできるだけ抑えて登るための戦略がものをいいます。
ボルタリングは初見で登るので、コースに対する判断力がものを言います。いくつものパターンの中から、効率の良いルートを導き出す「思考の瞬発力」が勝敗を左右しますね。
スピードは、その競技の名前のとおり、壁を一気に駆け上るスピード感が特徴です。
東京オリンピックでは、各競技に対する総合力が問われます。競技としては壁を登るという、ある意味単純なものです。しかし、コースを初見で登るという前提を知った上で見ると、コースどりや戦略を瞬時に構築する判断力など、筋力や持久力以外の見方ができ、より競技を楽しめますね。
東京オリンピックの注目選手は?
日本は、スポーツクライミングの分野では強豪国にあたります。
世界ランキング2019を見た場合、男子の世界ランキング1位が楢崎智亜(ならさきともあ)選手、4位が原田海(はらだかい)選手、5位が藤井快(ふじいこころ)選手、女子では2位が野口啓代(のぐちまさよ)選手、4位が野中生萌(のなかみほう)選手、10位が森秋彩(もりあい)選手と、上位に多くの選手が名を連ねています。
東京オリンピックの代表選考では、解釈の違いなどから一部揉めている部分があるようですが、世界ランキング上位の選手が多いため、メダル獲得への期待が高まりますね!
まとめ
今回は、スポーツクライミングという、東京オリンピック2020で初めてオリンピックの種目として採用された競技のルールなどを調べました。
スポーツクライミングは、壁を登るというシンプルな競技です。しかし、コースを正確に読み取り、最適な登り方を瞬時に判断する力も必要であり、シンプルが故に奥が深い競技です。
世界ランキングに日本人選手の名前が多くでてくるため、メダル獲得への期待が高まりますね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2020-01-06