新型コロナウィルスの影響により、学校は基本的に休校・企業では在宅勤務が推奨されていますし、同居者に発熱や感冒などの症状があれば出社不可としている会社も多いのではないでしょうか?
家族に発熱・感冒症状が出た場合には、自宅待機することになりますが、その際の注意点について、世界保健機関(WHO)から出ている「コロナウィルス感染が疑われる患者さんの対応について」の文献と厚生労働省の指針を参考にまとめました。
- 感染疑いのある方は、換気のよい部屋で過ごす。
- 感染疑いのある方の自宅内での移動は可能な限り避け、共用スペースで過ごすことはできるだけ避ける。
- 同居している方はできるだけ違う部屋で過ごす、難しくても1m以上の距離を置く。
- 看護する方はできるだけ同じ人にする。
- こまめに手洗いをする(調理前後・食事前後・トイレの後など)
- 感染疑いのある方は、咳やくしゃみなどの症状があれば可能な限りマスクをする。マスクができない場合には、咳やくしゃみのときにペーパータオルなどで覆う。
- 看護者はマスクで口と鼻をしっかりと覆った状態とする。
また、部屋の換気はもちろんですが、加湿することによってウィルスの飛散が抑えられるため、加湿器や濡れタオルの部屋干しなどをすると、よりよいと言われています。
感染拡大食い止めようと、国を含め様々な対応がとられています。
上記は通常の風邪と比較するとかなり厳格ですが、感染例が増えているところですので、感染拡大を食い止めるために必要な措置ですね。
では、詳しくみていきます。
Contents
感染拡大をしないためには?
発熱があったり咳があるからといって、確実に新型コロナウィルスに感染しているということではありません。しかし、その疑いがあることになります。
現在、厚生労働省から出ている指針では、風邪のような症状がある場合には、医療機関を受診せずに自宅待機するように言われています。
それは、新型コロナウィルスの疑いのある患者さんが医療機関に殺到した場合に、医療機関の中で感染が拡大することを懸念してのことです。もちろん、収容能力の問題もあります。
自宅で待機している場合でも、自宅内で感染拡大しないように対応することが必要です。
感染疑いのある方(発熱のある方)は、換気がしっかりなされている部屋で過ごすことが推奨されています。
また、リビングなどの共用スペースの利用は可能な限り避けることや会話などの際にも1m以上の距離を保つようにと言われています。
看護する方もできるだけ特定しておくことが望ましいです。看護する方が同じであれば、感染拡大も最小限に防ぐことができます。
そして、大事なのは手洗いです。
アルコール消毒液やハンドソープなどは、現在品薄状態です。しかし、石鹸は比較的購入が容易ですよね。
ハンドソープや石鹸を使って20秒以上かけて手洗いをする。食事の準備や食事前後だけでなく、気づいた時には可能な範囲で手洗いをすることで、感染を防ぐことができます。
これは、発熱した方は可能ならという話になりますが、看護する方は必須です。
少し話がそれますが、新型コロナウィルスに対して、手洗いなどの感染対策がなされた結果、インフルエンザに代表される感染症の数は減っています。
以下は、国立感染症研究所の発表している定点あたりのインフルエンザの発症報告数の推移(2017年〜2020年)です。
厚生労働省HPより引用
昨年・一昨年に比べて、インフルエンザの感染者の数が明らかに少ないことが見て取れます。
2020年3月8日現在新型コロナウィルスに対する感染が確認された方は461名です。
この数が多いのか少ないのかは判断が難しいですし、感染者は毎日数十名ずつ増えていることも事実です。
しかし、インフルエンザの状況を考えると、手洗いやアルコール消毒・マスクの着用や人混みを避けるなどの対応が、感染拡大を抑制している可能性が、インフルエンザの感染数のデータからうかがい知ることができるのではないでしょうか?
ということで、アルコール消毒液がなくても、ハンドソープがなくても、石鹸などで手洗いをすることが重要ですね。
アルコール消毒液のような手軽さはありませんが、そのひと手間が大事ということですね。
では、お部屋の環境はどういうところに気をつければよいのでしょうか?
感染を防ぐための環境は?
WHOの感染疑いのある患者さんに対する文献を紐解くと、まずは接触を避けることが書いてありますが、体調の悪い方もそうでない方も、対人的な接触を絶ってしまうと、精神的にも参ってしまいます。
しかも、食事や日常的な生活についても、ひとりで全て完結というのはなかなか難しいですね。
では、どのような環境を作るように気をつければいいかというと、ポイントは空気をこもらせないことです。
WHOの文献でも、厚労省の指針でも、大人数が集まる密閉された空間をできるだけ避けるように言われています。
咳やくしゃみによって、ウィルスの粒子が飛散してしまうと、それが室内に漂っていれば当然感染のリスクが高まってしまいます。
まずは、そういった場所を避けることが求められます。
家族だと大人数ではないので、リスクは低いですが、同じ場所にずっといる状態はよくありません。でも、発熱した場合は同じ部屋にいるように推奨されているので、どうしたらいいかという話になりますが、この場合有効なのは換気です。
空気清浄機は、部屋の空気をフィルターに通すことで埃やウィルスの類を除去しますが、結局空気清浄器内に捕捉された空気の汚れは留まります。もちろん空気清浄機が無効だというわけではありません。なので、窓を開けて部屋の空気をリフレッシュする換気の方が有効だと考えます。
寒い中なので、エアコンの効いた室内の空気を入れ替える気は起きませんが、熱があるなどの新型コロナウィルス感染の可能性がある場合には、せめて数時間に1度は窓を開けて部屋の空気を入れ替えてください。
そうすれば、部屋に漂っているかもしれないウィルスを外に逃してやることができます。
そうすれば、家族や看護者に対する感染リスクも軽減します。
あと、大事なのは湿度です。
部屋の湿度が高ければ、空気中に飛散しているウィルスなどの粒子に空気中の水分が含まれることで重くなり、下に落ちていきます。
ウィルスは空気中に漂うことで感染の可能性がでてきますので、加湿によって空気中のウィルスが床に落ちれば感染のリスクは低減します。
加湿器などで加湿するのももちろん効果的ですが、手軽なのは濡れたバスタオルを干すこと。
電気代もかかりませんし、ご家庭で必ず対応できます。
バスタオルの枚数はお部屋の広さによりますが、冬は基本的に乾燥しているうえ、暖房を使うと感想が助長しますので、多めのバスタオルを自分のそば(ベットの近く)に置くことで、自分の周囲をしっかりと加湿することができます。
加湿によって、喉や鼻が乾燥しにくくなり、感染する前にウィルスを体の外に出しやすくすることも期待できます。
すなわち、加湿は看護者にとっても良い影響があります。
乾燥してきたらこまめにタオルを変えるなど、少し面倒な部分もありますが、加湿器も水を足したりしないといけないですし、同じようなものかなと思います(言い過ぎか・・・)。
では、次はマスクについてです。
マスクは必須?
どこに行っても買うことが難しいマスクについてです。
マスクは感染した方が咳やくしゃみをした時にウィルスを周囲に拡散しないための策です。諸外国の話をしてもしかたないのですが、海外では普通の方が感染予防の観点でマスクをすることはないそうです。
医学的な論文の中でも、マスクをしていたとしても、感染予防効果は低いという結論が出ています。
とはいうものの、周囲の目も気になるし、自己防衛の意味でもマスクをしている方はいらっしゃるでしょう。
WHOの話では、家庭に発熱した方がいる場合には、可能であればマスクをすることが推奨されています。発熱したかたはもちろんですが、その家族(看護者)も含めてです。
でも、マスク不足の中ですので、マスクは外出の際に取っておきたいもの。
なので、マスクをするよりも手洗いをしっかり、そしてこまめにする方がよいと考えます。
マスクをする場合にも、正しい方法でなければ意味がありません。鼻や口をしっかりとおおってください(参考までにこちらの記事もどうぞ)。
まとめ
今回は、WHOが出している新型コロナウィルス感染が疑われる方の自宅療養に関する文献や厚生労働省の指針を参考に、自宅療養の際の注意点について書きました。
発熱などの症状がある場合には、可能な範囲で接触を避けることが推奨されていますが、なかなかそういうわけにもいきません。
ハンドソープや石鹸をつかって、手洗いをしっかりすることが不可欠で、その上でお部屋の環境を整えていくことが望ましいです。
ポイントは、「換気」と「加湿」です。
新型コロナウィルスの場合、基礎疾患がなく健康な方であれば、軽症のまま自然に治っていくケースが多いとの話がありますので、発熱した際にも慌てず、自宅で静養をとった上で、4日以上37.5度以上の発熱が続き、強いだるさや息苦しさがある場合には、各都道府県の「帰国者接触者相談センター(こちらで検索)」にご相談ください。
特に、高齢者の方やお医者さんにかかっている基礎疾患がある方は、2日以上続いたときには相談することが望ましいとされています。
イベントやライブが中止されたり、外出も控えるようにということで、ストレスが溜まってしまうところもありますが、感染を拡大しないためにも我慢の時です。
政府の対応には賛否ありますが、まずは冷静に、どういうことをすれば感染が拡大してしまうのか?ということを考えた上での行動が必要ではないでしょうか?
あそこまでしなくてよかったんじゃないか?と後で言えれば、それは対策が成功したということだと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
2020-03-09
WHOが発表してる文献は以下です(英語です)。
WHO-nCov-IPC-HomeCare-2020.2-eng
厚生労働省から発表されている新型コロナウィルスに関するQ&Aはこちらです。