筆記具の代表である鉛筆についての記事で,「ボールペンはインクが紙に染み込んでいるので,消えません」という話を併せて書きました.(鉛筆の話)
でも,ご存知のように世の中には消せるボールペンもありますよね?
私は,鉛筆の代わりに消せるボールペンを使っています.スケジュール帳を書くときや勉強しているときなど,間違えても消せる安心感があるし,色が豊富.そして何より消しカスがでないので,ゴミも出ずにとっても便利!
ところで,この消せるボールペンの仕組みをご存知でしょうか?私は知らなかったので,ボールペンについて調べてみました.
Contents
消せるボールペンの秘密はインクにあり!
のっけから結論になりますが,消せるボールペンの秘密は温度(熱)です.
このボールペンに使われているインクは,熱を加えると透明になる性質があります.
もう少し踏み込んだ解説をしますと,このボールペンに使われているインクには色の元になる成分と発色を促す成分と温度に反応する成分の3つの成分が含まれています.
普通に使っているときには,色の元になる成分と発色を促す成分がくっついているので,文字が見えます.
では,文字が消える仕組みは?ということですが,このボールペンの文字を消す時にペンのお尻についているラバーでこすりますよね?その時,ラバーと紙の間に摩擦熱が発生します.書いた文字にこの“摩擦熱” が加わると 発色を促す成分と温度に反応する成分がくっつく,すなわち“色の元になる成分” と “発色を促す成分”が離れて色が消えます.
書いた文字に “熱” を与えると,文字が消えるということで,試しにドライヤーで熱してみました.
↑ドライヤー前
↑ドライヤー後
消えた!
本当に,熱でインクが消えていることが,よくわかりました!
消せるボールペンを使っている方への注意点
熱で消えるインクということで,普段使う時に注意することはないか?ということを考えていきたいと思います.
まず,熱いところでボールペンをおきがちなところといえばどこでしょうか?
夏から秋にかけて,日差しがサンサンと照りつける中,カバンをクルマの中においてちょっとコンビニまで!なんてことはありませんか?
そう!夏の車内の温度は異常です.「ちょっとそこまで」の買い物でも炎天下であればすぐに60℃を超えてくる場合があります.
そんな中消せるボールペンを放置するとどうなるか・・・.
消せるボールペンのインクは60℃前後で透明になるので,きっとインクが透明になってしまいます.これじゃペンとしての意味なし・・・.また,手帳にせっかく書いていたのに予定が全消え・・・なんてことも考えられます.
ご承知の通り,公文書のサインに消せるボールペンは使用できませんが,手帳に予定を書くときも同様に消えてしまうリスクがあることにご注意を!特にクルマ移動の多い方は注意が必要ですね.せっかく備忘のために予定やメモを書いても無になってしまうことがあります.
私は,以前は予定表を書く時に消せるボールペンを使っていました.幸い“予定が全消え”になったことはありませんが,リスクがあるな〜と思って,最近はシャーペンで書くようにしています.予定変更でも対応できて不意に消える心配が少ないですから.
消えてしまった文字を復活させるには?
では,不意に文字が消えてしまった場合には,もう泣くしかないのでしょうか?
前述の通り,このインクは熱に反応して消えます.60℃以上の温度で色の元になる成分と発色を促す成分が離れてしまうことが,文字が消える仕組みとお伝えしました.
ということで,熱をとってやる,すなわち冷やしてみればどうでしょうか?
先ほどドライヤーで文字を消した後のノートを冷凍庫に入れてみました.
↑冷凍庫に30分ほど入れてみた後
うっすらではありますが,文字が復活した!
今回は30分くらいだったのではっきりと見えにくいですが,それでも何が書いてあるかはわかるくらいにはなりました!
ということは,不意に消えてしまった大事な予定は,冷凍庫で一晩おいておけば見えるくらいに復活するはず!ということがわかりました.
あとは復活した文字を見て,ボールペンとか鉛筆で書き写して消えないようにするということになりますね.
ついでに,ボールペン自体も冷凍庫に置くことで復活します(インク切れでなければ).冷凍庫で一晩おいてインクを解凍するために室温で数時間すれば元に戻ります.
まとめ
今回のお話のポイントは以下の3つです.
- 消せるボールペンは,熱によってインクが消える!
- 消えた文字は,冷やすことで見えるようになる!
- 夏のクルマに消せるボールペンを放置してはいけない!
詳しい説明や開発の話はPILOTのHPに記載がありますので,そちらも参照してみてください.
2019-07-11