身近な疑問の話

ケガの後に血が止まるメカニズムは?血小板の機能を解説

先日,うちの子が道で転んでケガをして帰ってきました.幸い擦り傷程度で,消毒して絆創膏貼っておいたら血が止まり治っていきました.

さて,擦り傷ができたときとかケガをすると,当然傷口から血が出てきますが,消毒したり絆創膏を貼ったりと然るべき処置をしておけば時間が経つと血が止まり,傷口が塞がっていきます.

こんな場面に出くわすと,「なんでケガのあとに血が止まるの?」ってお子さんから聞かれることはありませんか?

ということで,今回は「なぜ,ケガをした後に血が止まるのか」についてお話します.

Contents

血が止まるメカニズム

御存知のように,体の中には隅々まで血管が張り巡らされ,その中を血液が流れています.

ケガをして出血するということは,この血管に穴が空いて血液が外に出てきているということですよね.

そのまま血が出続けてしまうと,身体に必要な血液がなくなってしまい,失血して最悪は死に至ってしまいますが,よっぽどの大きな傷でない限りは,自然と血管は塞がれ,出血が止まります.

この時活躍する血の中の成分が血小板です.

血小板は,血管に異常がないかを監視する警備員みたいなもので,もし血管に穴を発見したら応急処置をしてくれます.

どういうことかというと,血管に穴を発見した血小板はそこにどんどん集まってきて,重なって壁をつくり,身を呈して穴を塞いでくれるのです.

そうすれば,とりあえず出血は止まります.

と,それだけで終わらないのが体のすごいところ!

 

実は血小板が重なってできた壁は結構もろい状態なので,これだけでは心許ない状態なのです.

そこで登場するのは,“フィブリノーゲン” というやつです.

フィブリノーゲンは,穴を一生懸命塞ごうとしている血小板に出会うと,助けずにはいられません.

血小板の重なった応急処置の壁の周りに集まってきたたくさんのフィブリノーゲンが手をつなぎ,合体してフィブリンというものに変身し,血小板でできた壁をがっしりと補強するのです!

ここまでくれば,もう安心!あとは,血管が元どおりに治るのを待つことになります.

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もう少し詳しい説明

ここからは,もう少し詳しい説明をしていきたいと思います.

まず,血小板はなんで傷口に反応できるのでしょうか?

 

血管の内側は,“内皮細胞” という種類の覆っています.内皮細胞の下には,“コラーゲン” がいて,血管に穴ができた状態になると内皮細胞の壁がなくなり,コラーゲンが血液に触れることになるため,コラーゲンと血小板が出会います

血小板は,コラーゲンと出会うと,重なって壁をつくるようにできています.

 

じゃあ,フィブリノーゲンはどうやって血小板を助けるのでしょうか?

フィブリノーゲンは,もともと血液の中を血小板とかと一緒に流れています.

血小板は,壁を作った時に,助けてシグナルである血液凝固因子を出して,フィブリノーゲンにアピールします.

そうすると,フィブリノーゲン“トロンビン” という協力者に手伝ってもらい,合体をすることで “フィブリン” に変わります.

このフィブリン(網目状のネットみたいなもの)が血小板でできた壁を補強して,しっかりとした止血用の壁ができます.

血液凝固因子は,その名の通り,血液を凝固(かためる)働きをする物質で,12種類確認されています.

まとめ

身体は,いきていくために必要な仕組みがしっかりと構築されていて,緊急事態に対応する時には本当に巧妙に働いています.

今回のお話をまとめると,

ケガをして出血した時には,血小板が集まり,さらにフィブリノーゲンという助っ人が来て,しっかりと血管を塞ぐ

といった感じですね.

身体は本当によくできているなー!

2019-08-18

 

身体のお話で以下の記事も書いています.よろしければどうぞ.

血液が赤い理由を解説!浮き出た血管が青く見える理由も